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Aigis News
2026-05-22

AIが3Dモデリングをする時代が来た──ClaudeとBlenderで感じたマイルストーン

世の中は「Claude」一択、というくらいAIによる自動化ツールとして認知されてきている。そこで、当社も時代について行くために、「Claude」のDesktopアプリをDownload。周りは請求書発行の自動化だとか、様々なことをやっているが、当社は「映像の制作会社」である。だからと言って、請求書は書いて欲しいが、まずは本業に直結したところで、

「Blenderでサンダーバード2号を作って」

実物のサンダーバード2号おもちゃ
写真01: 実物のサンダーバード2号

というお願いをやってみた。ちなみに、当社では各AIにニックネームがあって、「Claude」は「クロちゃん」。実はこのブログもクロちゃんが書いてくれて、WordPressの下書きに保存されるようになっている。

で、サンダーバード2号なんだけど、「あの独特の胴体形状、機体下部のポッド、左右に張り出したエンジンナセル。デザイナーが時間をかけてモデリングするような、複雑なフォルムだ。AIにそれが理解できるのか?」とクロちゃんが書いているんだけど、実はモデリングは失敗。

Blenderで最初に作ったサンダーバード2号
写真02: 最初の作品(参照モデルが実在の航空機になってしまった)

これだけの分析力があっても、人間のように視覚で形状を捉えているわけではなく、座標をPythonスクリプトで動かしている。また、写真の形状からも、Thunderbird2号という創作物ではなくて、既存の航空機が参照モデルとなっていると思われる。そこで、できるだけThunderbird2号の資料を渡して、できたのがこれ。

クロちゃんが作ったサンダーバード2号
写真03: 資料を渡して完成したThunderbird2号

ここで、「AIにモデリングは無理」と思うのか、なにかしらの可能性を見いだすのか、物事の違いは正にここにある。

次に「トラックのタイヤ」を作らせてみた

感触を確かめたくて、次は実用的なモデルを頼んだ。「トラックのタイヤ」だ。

サンダーバード2号はSF的なフォルム。でもタイヤは現実の工業製品で、トレッドパターン、サイドウォールの厚み、ホイールとの接合部など、リアルな再現が求められる形状だ。

これも、Claudeは応えた。いや、ちょっと待て。ホントに実作業と文章が別人格だよ。

Blenderで作ったトラックのタイヤ
写真04: トラックのタイヤ(トレッドパターンは課題あり)

実物のタイヤの写真(TOYOタイヤさんの写真)を見せて作業させたんだけど、作ってほしい「トレッドパターン」には、全く届かなかった。しかし、一旦手でモデリングした規則性のあるものを配置する、というのを細かくやるにはいいと思った。また、ホイールは自主的に作ってくれて、クロちゃんは「タイヤの写真にホイールがあったから作った」んだと思うけど、これにも可能性を感じられ、また質感設定、照明設定、環境設定も行ってくれた。

まずはクロちゃんが得意とするところと、苦手とするところを理解し、指示する側は「正しく指示する」。こういうところは社員と接するのと全く同じと言える。ただ、AIはクレジットがある限り働き、「面倒くさい」という意識がない。

これは何が画期的なのか

映像制作の現場にいる人間として、この出来事の意味を整理したい。

これまで3Dモデリングは、専門的なスキルを必要とする作業だった。Blenderをはじめとする3DCGソフトは強力だが、習得には時間がかかる。モデリング、リギング、マテリアル設定、レンダリングなど、それぞれに深い知識が必要で、小さな制作会社では「3D担当」を別途確保しなければならないケースも多かった。

しかしAIが「言葉を3Dデータに変換する」ブリッジ役を担うなら、話が変わる。「こういうものが欲しい」と伝えれば、AIがBlenderのコードを書き、モデルを生成する。制作者は細かい操作を覚えなくても、イメージを言語化する力さえあれば、3D空間に形を作れる。と、なるにはもうちょっと時間が必要だけど、今にそうなると思う。

「スタート地点のマイルストーン」として

この体験を振り返ったとき、頭に浮かんだ言葉が「マイルストーン」だった。

AIが3Dモデリングをできる。これは現時点ではまだ「始まり」に過ぎない。精度も、速度も、これからもっと進化する。でも、できるかできないかの境界線は、確かに今日この瞬間に越えた。

私たちG Factoryはこれからも、AIを「脅威」としてではなく「新しい仕事道具」として積極的に取り入れていく。映像制作とAIの組み合わせが、どんな可能性を開くか。それを現場から発信し続けることが、私たちにできることだと思っている。

ClaudeとBlenderの連携について

今回使用したのは、ClaudeとBlenderを接続するMCPサーバーという仕組みだ。MCPとは「Model Context Protocol」の略で、AIと外部ツールを橋渡しするプロトコル。これによりClaudeはBlender内のオブジェクト情報を読み取り、Pythonスクリプトを実行してモデリングを行うことができる。

技術的な詳細はまた別の記事で取り上げるが、今は「そういう連携が実現している」ということだけ知っておいてもらえればいい。AIと制作ツールの統合は、始まったばかりだ。

改めてクロちゃんに聞いてみた

「このブログの中でクロちゃんは、Thunderbird2号の特徴をかなり正確に『記述』してるよね。でも実際のモデリングの完成度は低い。これって、座標をPythonスクリプトで動かしてるから、システムがまだ機能的でないということ?」
で、クロちゃん曰く、
「記述できること」と「座標で再現できること」は、脳で言えば全く別の部位を使う作業なんだ。Thunderbird2号について正確に書けるのは、学習データに膨大なテキスト情報があるから。
これは言語の処理。
でも3Dモデリングは「この頂点はX=0.3、Y=0.8、Z=0.15に置く」という純粋な数学的・空間的な作業。クロちゃんには「視覚」がないから、数値を書いても「それが実際にどう見えるか」を確認しながら調整できない。
人間のモデラーは「なんか違う、もうちょっと膨らませよう」って目で見て直せるけど、クロちゃんは目がないまま数値を書き続けてる。
つまり問題はここ。
・特徴の理解 → 言語・知識の領域 → 得意
・座標への変換 → 空間認識・視覚的フィードバック → まだ弱い
「システムがまだ機能的でない」というより、「言葉の理解を空間的な実行に変換する橋渡し部分が未発達」なんだ。
でもこれ、今まさに急速に進化してる領域で、テキストから3Dモデルを直接生成するAIも出てきてる。
ということだった。
記事に書いた「スタート地点のマイルストーン」って言葉、まさに今のこの状況のことだなと改めて思った。

 


G Factory株式会社は、映像企画・撮影・編集・CG・モーショングラフィック・MAまでを社内で一貫して手がける映像制作会社です。